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アラブで最も貧しい国(2002年にイエメンを訪れたときの旅行記です) 1000年前と変わらないと言われるイエメンの古の街サナアでは、静かな夜に終わりを告げるアザーンが流れると、いびつなトマトが運び込まれ、ラクダが石臼を轢き出す。そして、たくさんの乳香やスパイスがスークに並べられ、ラクダに碾かれた小麦粉でパンが焼かれ、女たちは顔を隠して家の奥で多くの時間を過ごす。 アラブで唯一の社会主義国、南イエメンが誕生し、数年前まで内戦が行われ、アメリカ駆逐艦爆破事件や外国人誘拐事件が発生しているとは言え、今、この国は平和に見える。白いアラブ服の男たちや黒いチャドルの女たちが変わることを望んでいないのであれば、たくさんの乳香が街に並べられているイエメンは、彼らにとって今も"幸福のアラビア"のはずである。 旅人は、無責任に、彼らがピカピカであんまり切れそうもない派手なジャンビーヤを腰に差したアラブ服の男たちであり、薄いベールで顔を隠して歩きにくそうにしている黒いチャドルの女たちであることを願うのだった。 |
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(C) Tabinchu Terada |