しかし、なぜ彼らはこんな山のてっぺんに集落をつくるのか?当然、外敵から身を守るためだ。この集落は断崖絶壁に囲まれている天然の要塞なのだ。しかも、この狭い集落の中にいくつもの溜め池がある。山羊や羊が食べるくらいの草も生える。四方を敵に包囲されても、ここだけで生活ができるのだ。かつてオスマントルコがアラビア半島を制圧したときも、このシハラは独立を保っていたという。


 世はミサイルが飛び交う時代。断崖絶壁に籠もったところで身を守れるとも思えないのだが、彼らはその不便そうな山のてっぺんを離れようとはしない。彼らはシハラに電話や水道を引き、発電所をも造っていた。彼らはなぜここに住み続けるのだろうか?
 まだ、ライフルによる部族間の抗争があるからか?それとも部族の誇りがそうさせるのか?

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(C) Tabinchu Terada