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西蔵法師 −原作 河口慧海のチベット旅行記−
解説このように、小乗仏教とは大乗仏教の立場から批判的に名付けられたもので、小乗と呼ばれる仏教の立場からすれば当然「小乗はあさくて俗でとるにたらぬ。」と言われる覚えはないのです。釈興然師も慧海に言っています。 「小乗教は即ち純正の仏教である。日本では小乗といって居るけれどもその実、小乗という名は大乗教者がつけた名で小乗そのものには決してそういう名はない。純粋の仏教はこの教えに限る。」 一方、観世音菩薩などが登場する大乗経典は、ゴータマ・ブッダよりも数世紀遅れて、おそらく紀元前一世紀ごろから語られ編纂されたといわれています。この観点から言えば、大乗経典は、ゴータマ・ブッダの言葉をそのまま記憶したものではありません。釈興然師も言うように、スリランカやミャンマーやタイなどに伝わった南伝仏教が純正・純粋の仏教とも言えるのです。大乗経典は仏説ではないと主張する大乗非仏説という言葉もあるくらいです。おそらく、スリランカやミャンマーやタイでは観世音菩薩、弥勒菩薩、文殊菩薩などの仏像を目にすることはほとんどないと思います。 |
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